本日は、先日掲載した前編の続き・後編をお届けします。前編をまだお読みになっていない方は、そちらからお読みいただくことをお勧めいたします。
後編
女性に纏わる怖れが露呈されやすい3つの状況について:
まず最初の状況は、母親が非常に良くできた人であるかもしくはパワフル過ぎるが故に、子供(当人)を手放すことができない場合です。この状況において、子供(当人)である彼もしくは彼女は、母親自身が創り出したサークル(円)の中、すなわちそこは母親の影響が常に及ぶ領域で、その場に足を引っ張られ留まり続けてしまうのです。この状況に起きていることを神話に出てくる例で例えると、母親は、「物語の主人公が自分の人生を歩んでいくことをドラゴンが阻む。ー自我が前進することを阻まれ、エネルギーの成長が止まってしまうことー」ということを無意識のレベルで体験しています。神話やおとぎ話の中では、ヒーローが自分自身の運命を全うするためには、主人公自身がそのドラゴンを倒さなくては(殺さなくては)ならない状況が描かれています。
2つの目の状況は、当人である彼もしくは彼女が、人生において「後退」していると感じる傾向にある時で、子供である当人自身が人生を歩む上で、父権制的な局面(仕事・関係性・経済的自立)の中で困難さや失望感に見舞われた時、避難する場を求め家族(基本的に母を求め)の元へ戻る、という場合を指します。このようなことが起きる時というのは、通常、その子供である当人が、自立に向けた最初の一歩を踏み出そうとする時なのです。
3つ目の状況は、さらにドラマティックだと言えるでしょう、なぜならその状況は、父権制の生活圏内においてすでに一定の成功(良い仕事・家族・社会的地位)を手に入れ、あたかも社会的圧迫から解放されたかのような人に起きる状況を指すのですから。その人が無意識の層に持つ女性の元型(アーキタイプ)との険悪な関わりが、性的もしくは感情的な状況において、不器用で子供染みた態度をその人から誘発するのです。恐ろしい母親の影(シャドー)がその人のキャリアや、はたまた、一個人としての完全なる破壊を誘発し得るのです。このことは、該当する男性もしくは女性がその人に内在する女性(性のエネルギー)への怖れを受け入れておらず、(社会的成功に見受けれらた)個人の統合は表面的なものであった、ということとも言えます。
ハリウッドで起きたスキャンダルのハーヴェイ・ワインスタインの例*や、または、公共交通機関を利用して女性に対し、子どもじみた性的嫌がらせの行為をする日本のビジネスマン(ここではサラリーマンと表現した方が正しいでしょうか)の例を考えてみてください。そのようなサラリーマン男性たちは、彼らがキャリアで達成したこと全てを危険に晒した上でそのような行為をしていると聞きました。女性の才能を創造的に活用する仕事に関わっていたワインスタインは、女性のエネルギーをかなりのレベルで恐れていたに違いありません。故に、彼は女性に対して屈辱を与え続けたのでしょう。
*補足:2017年に(ワインスタインが)女優などへのセクシャルハラスメントを長年に亘って行っていたことが明るみに出て、様々な役職を剥奪された。この事件は「ワインスタイン効果」(en:Weinstein effect)、MeToo運動(en:Me Too (hashtag))と呼ばれる社会現象を引き起こした。(以上、Wikipediaより引用)
山羊座冥王星時代(冥王星ー絶対的パワーの象徴)の「怖ろしい母親」の元型が抱える一つのパラドックス(矛盾)は、その元型が、本来であれば男性的イメージである「独裁」を生み出し続けていることです。恐るべき独裁の体制は、世界のあちこちで今日現在、見受けられます。それはまるで、偉大なる女神が自らモンスターを生み出しているかのようにすら見えるのです。中国のリーダーは、権力を自らが永遠に持ち続けることを決め、その他にも、北朝鮮の独裁者、フィリピンの大統領、ヴェネズエラの独裁者、シリアのアサド首相、トルコなど・・・間も無くこのリストにメキシコも加わることでしょう。そして最後の一押しならぬダメ押しは、トランプ大統領です。これまでに彼の女性に向けた数々の稚拙なやり方による非難の行為について考えてみてください。ここでいう独裁の一般的な特徴は、独裁する者による稚拙な行動や、従う者および従わない者に対する卑劣な仕打ちです。
個人的には、わたしはこのような傾向が一次的であること、そして急進的な変容のプロセスにおける極端な効果の一端であること、そして、ここ数年のうちに、パワーというものの印象とその支配に関する「再生(冥王星のキーワード)」と、男性と女性それぞれの元型の良好な「統合(山羊座のキーワード)」をこの目で実際に目撃できる日がやって来ることを願っています。あと向こう何年の間、あのような怖ろしい暴君たちにわたしたちが耐えなくてはならないのか、これだけは予測のしようがないのです。
2018年3月
ザビエ・ベトコート
翻訳:持田 直子
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原文
First, when the mother is either too good or too powerful for the person to let her go; this situation can cause that he or she remain trapped in the mother’s circle, in her area of influence. In this case, the mother is experienced, at an unconscious level, as a dragon preventing the person to move on in life, ‘the ego is arrested’, the energy of development remains stuck. In myths and fairy tales, the hero has to slain the dragon in order to fulfil his destiny.
The second situation is associated to a regressive tendency, it happens when the persons goes back to seek shelter within the family (basically, the mother); when he or she encounters difficult or frustrating situations in the patriarchal phase (work, relationships, financial independence); this usually happens when the individual is making his first steps towards independence.
The third situation can be even more dramatic, it occurs when the person seems already emancipated, has achieved a certain success in the patriarchal sphere of life (a good job, family, social position). But a bad unconscious relation with the feminine archetype may provoke a clumsy and infantile approach to sexual or emotional situations; the shadow of the Terrible Mother can destroy a career, it can provoke a total collapse of the individual. This means that the man, or the woman, had not come to terms with his or her fear of the feminine, the integration of the individual had only happened on the surface.
Think of the Harvey Weinstein scandal in Hollywood; or the tendency of some businessmen in Japan (salarimen) who behave childishly in the public transport abusing women; as I heard, these men risk losing everything they have achieved in their careers. Weinstein, a successful and powerful man, whose job was associated with capitalizing female talents in a creative way, must have been very frightened by female energy; for this reason he always tried to submit and humiliated them.
One paradox of the Terrible Mother archetype with Pluto in Capricorn (an image of absolute power) is that it has been producing male images of tyranny; there has been an appalling presence of tyrants all around the world. It happens as if the Great Goddess was engendering her own monsters: The Chinese leader has decided to hold power forever, the dictator of North Korea, the president of Philippines, the dictator in Venezuela, Assad in Syria, Turkey, and so on; Mexico, most probably, will be added soon to the list. And sure, the cherry of the cake is president Trump; think of his immature style of ruling and of all the women denouncing his abuses. One common trait about these tyrants is their childish behaviour, the horrible treatment to their attendants as well as to anybody who disagrees with them.
Personally, I hope that this tendency is only temporary, only an extreme effect of a radical process of transformation, and that in some years we will witness a regeneration (Pluto) of the image and rules of power, a successful integration (Capricorn) of the male and female archetypes. What we cannot predict is how many years we will still have to endure all those dreadful despots.
Xavier Betancourt
March, 2018
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