来日を目前に控えたメキシコのザビエより、
「LAST ARTICLE!!!(最後の記事だよ!!!)」
というメールの件名と共に届いた文章をお届けします。今回の記事は、第7代国連事務総長を務めたコフィー・アナン氏についてです。アナン氏は、今年の8月18日に80歳でその生涯を閉じました。アフリカのガーナ共和国に生を受け、その生涯をもって人類のための世界平和に臨み続けたアナン氏について、ザビエは、「commitment/コミットメント」のロールモデルというタイトルで書き始めます。この「commitment/コミットメント」という言葉、日本語の意味を調べると「深く関与する、従事する、献身、約束、責任」などとあります。文中の訳は敢えて「コミットメント」と表記することにしました。読んでくださるあなたにとっての「コミットメント」が何を意味するのか、そんなことを思いながら読んでくださると、更にこのザビエの見解を楽しんでいただけるのではないか、と思います。
今回は、アナン氏のバースチャート(出生図)画像も付けましたので、そちらも照らし合わせながら、じっくり読んでいただけると嬉しいです。また、もしまだザビエによる別記事「昨今の厳しいトランジットへの対処法」を読んでいない方は、そちらから読んでいただけると、この記事の意味合いが増すのではと思います。あくまでも訳者のおすすめとして、よろしければ併せてご覧ください。
ぜひ最後までお楽しみください。
なお、英語原文は、本頁の最後に掲載します。
The original text in English follows Japanese.
翻訳・文責 持田 直子(ザビエ・ベトコート・ジャパン代表)
「コミットメント」のロールモデル、コフィー・アナン氏について
1997年から2006年まで国際連合事務総長を務め、ノーベル平和賞を受賞し、この8月に逝去したコフィー・アナン氏が受けた数々の賞賛を読んだ中で、彼を最も的確に描写したのは、「平和の英雄であり人類を最善へと導いた人 ('a champion of peace and a guiding force for good')」という表現ではないだろうか。この卓越した人物を表す完璧な公式は、彼が牡羊座で生まれながらに戦士であったことと言えるが、その牡羊座の太陽と土星(制限と収縮)が重なり合っていることから、彼は自身が持つ爆発的なエネルギーを高潔な目的に向けることを学んだ、とも言えるのだろう。
1938年4月8日(出生時間不明)にガーナの都市・クマシで生まれたコフィー・アナン氏の出生図の中で、彼が持つサインが示す複数のポジティブなアスペクトは、彼が常にリーダーであり新たな道の発見者且つ主導者であったことを表している。彼が残し遂げた数々の事柄の中で最も重要な成果として挙げられるのは、この惑星の生態系を評価した「ミレニアム生態系評価(2005年発表)」である。結論を導き出すために5年という歳月を費やしたその報告書には、世界中から1,360名に上る科学分野の専門家たちが参画し、報告書の最後は、この50年以内に生態系の大惨事が起こり得る、という予測で締めくくられている。そのような発表は、何も人類を震え上がらせることを目的としたのではなく、そのような惨事を防ぐための能動的な救済策を提案するためであり、このような文書は、世界各国の政府・国連そして一般の人々が立ち向かわざるを得ない挑戦そのものを表している。
コフィー・アナン氏の出生図(1938年4月8日出生地ガーナ、クマシ 出生時間不明)
アナンは、自身の力強いエネルギーを正当に使う手段として、彼自身の深いところからやってくる直感を使ったのだと言えよう。牡羊座は非常に衝動的になり得るため、わたしは牡羊座の人たちに対して、彼らにとっての「戦い」をいかに選択するのか、その術を学ぶよう常に提案している。それだけ牡羊座にとって、自ら選びもしない「衝突や戦い」に巻き込まれることは容易いことであり、それは単に彼らにとって、エネルギーと時間を無駄に消費することでしかないからである。
しかし、衝動的で直感的な人が、一体どのようにして、自分自身のエネルギーを安全・生産的に操る方法を学ぶことができるのだろうか?
そのキーポイントは、コミットメントにある。彼の出生図を見ると、木星が水瓶座にあり、アナン自身がいかに「宇宙の普遍的(水瓶座)価値(木星)」と革新的な考えを持った人物であり常に道徳的責任に携わっていたかを表している。もしUN(国連)の指針を占星学的に表現するのなら、わたしが自然に選択するのは、「水瓶座(に位置する)木星」となるだろう。国際連合とは、その定めた法の下に(木星)、統率された国家間の繋がりおよび物資の供給と平和の実現(水瓶座)を目的とした先進的な提案をする団体である。古代の歴史で言えば、当時のオリンピックが相当するであろう。元・国際連合事務総長という公的な人格は、彼のアーキタイプ(元型)となり、それを決定づけたのは、ノーベル平和賞の受賞だとわたしは考える。
こうした団体や組合へ傾倒することは、ある種の実用的な方法で自分自身にコミットした時にだけ、実質の効力を発揮する。実際にアナンの出生図を見ると、金星・水星・天王星・火星という複数の星々が地(Earth)の元素に在り、このことが強み且つ実際に物事の現実化を後押ししたのではないかと推測できる。チャート上の火星(彼の太陽サインである牡羊座の支配星)と木星の間にある緊張(スクエア-90度)を観察してみよう。アナンは、彼が目指すゴールを達成する為に、時には頑固さを保ったであろうことが伺える。この(火星ー木星間の)スクエアをチャート上に持っている人は誰でも、自分自身のアイデアが形にならないことに対し、とてつもない心地悪さを感じる傾向にある。もう一つのキーポイントは、牡牛座にある天王星である。アナンは常に、豊かな国々が貧しい国々に対してその豊かさと技術協力を与えるべく邁進したのだ。また、彼の出生時の金星(牡牛座の支配星)に現行の天王星が重なったタイミングで彼が死去したという事実にも注目しておきたい。彼は、自身の天王星回帰を完遂しないままこの世を去ったが、わたしには、このコフィー・アナンという人物が、天王星が牡牛座を移行する間、地球という人類にとっての共通な場所に関する気づきと責任のシンボルとして存在し続ける、という印象を抱いているのだ。
(この人物を出生図を通して理解する上で)最も重要なのは、彼の牡羊座にある土星と太陽が重なっていることが、いかに彼を注意深く繊細な人物に仕立てたか、ということである。生まれながらの反逆者である牡羊座にとって、権威を尊重し、権威に従い、更に葛藤に抵抗する術を学ぶということは、どれほど大変なことだっただろうか。アナンが、特に(アナン自身は非難した)イラク戦争が勃発した期間中、国連でのかつての上司とアメリカによる操作を非難したのは、彼にとって当然のことだったであろうが、困窮した人々を救うためであれば、彼自身がいかにして待ち、最善の可能性を手にするかの方法を知っていたのだ。このことを明確に示す一つの事例がある。2005年、食料や薬品を得るための人道支援目的で、イラクに原油販売を可能にするプログラムをアナンは実施したのだ。
上品さを持ちまた個人として存在したコフィー・アナン氏は、アメリカとの直接的な対立なしに、国連としての「顔」を回復することを成し遂げたのだった。国連の予算の三分の一が富裕国からの支援で成り立っていることを知りつつも、彼は国連という彼自身の機構の中で、そのような国々が自国勝手にパワーを使って操作をすることを決して良しとはしなかったのだ。アメリカからのプレッシャーと人類の権利をかけた戦いを彼が十分に行なっていないと彼を糾弾した人たちとの間でバランスを保つことは、彼にとって非常に辛いことではなかっただろうか。
人類の護衛と進化に対するコミットメントを、コフィー・アナン氏は、その生涯を終えるまで保ち続けたと言えよう。子供の頃、アフリカという自身が生まれた大陸で、第二次世界大戦による崩壊と恐怖を目撃する。そして、のちに、国連(UN)、世界保健機関(WHO)、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関/UNESCO)といった平和な現代世界を生み出すための機関の誕生を見聞きし、後に参画した上で、それら機関の能力を実際に向上させて行くのだった。しかし、彼は死んでしまった。彼がもたらした数々の価値が奪い去られた後に、世界中のありとあらゆる場所で冷ややかに笑う絶対君主達の顔が思い浮かんでしまうのだ。とても残念なことである。
トランスパーソナル天体のトランジットが厳しい昨今、コフィー・アナン氏のイメージこそ、コミットメントがどういうことかを理解するための、正真正銘のロールモデルである、と強く言いたい。
聖人でなく本物の勇者だったこの偉大な人物の葬儀では、政治家・学者・芸術家、そして何百万という人々が世界中から彼を称えたのだ。
ところで、あなたはトランプ大統領に対する敬意を見聞きしたことはありますか?わたしはありません。そして、そのことにわたしは特に驚きもしません。コフィー・アナン氏は、トランプ氏とは真逆の価値観に立っています。アナン氏のイメージは、死した後も何十年そして何世紀もの間、称賛を受け続けるでしょうが、ドナルド・トランプ氏においてはそのようなことにはならないと思っています。
ザビエ・ベトコート
原文
KOFI ANNAN, ROLE MODEL OF COMMITMENT
The best description I have read among all the tributes paid to Kofi Annan, Secretary General of the United Nations from 1997 to 2006, and Nobel Peace Prize, who died last August, is: ‘a champion of peace and a guiding force for good’. A perfect formula for defining this excellent man, who, as an Aries, was a natural fighter, but with his Sun conjunct to Saturn (restriction and contraction) he learned how to focus his explosive energy towards righteous purposes.
Kofi Annan, born on April/8, 1938 in Kumasi, Ghana (time unknown) displays some of the best aspects of his sign, always a leader and a discoverer of new paths and initiatives; one of the most important was the evaluation of the ecosystems of the planet, The Millennium Ecosystem Assessment (published in 2005). It took 5 years to conclude this report where 1360 scientific experts of the whole world participated; it concluded that there would be an ecological catastrophe in about 50 years; the purpose of this announcement was not to frighten mankind, but to help propose active remedies to prevent horror; such a document represents a challenge for governments, world organizations and normal people.
Annan had a deep intuitive way in directing his powerful energy for the good cause. Since Aries can be very impulsive, I always recommend them to learn how to pick up their own battles, it can be so easy for Aries people to get trapped in conflicts and fights that they did not choose, and it can be such a waste of energy and time for them.
But how can an impulsive intuitive type learn how to command his or her energy in a safe and productive way?
The key point is commitment; with Jupiter in Aquarius in his natal chart, Annan was a man of universal (Aquarius) values (Jupiter), and revolutionary ideas, always engaged with moral responsibility. If we want to express the UN principle and purpose in astrological terms, Jupiter in Aquarius would naturally be my choice; the United Nations is an innovative proposal of organized connection and distribution of goods and peace (Aquarius) under the law (Jupiter). In ancient times, the Olympics would be the equivalent. A public personality such as this former UN Secretary embodies the archetype; the Nobel Prize of Peace was his seal.
This devotion of unity and brotherhood can only be effective if we commit ourselves to it in a practical way; Annan’s chart has the advantage of having several planets in earth, Venus, Mercury, Uranus and Mars, which pushed him to make things happen. Observe the tension (square) between his Mars (ruler of Aries, his solar sign) and Jupiter. Though cautious, Annan must have been very stubborn when trying to achieve his goals; anybody with this square might feel terribly uncomfortable if his or her ideas do not become concrete. A key point too is his Uranus in Taurus; Annan always tried to make rich countries share their wealth and technological advantages with the poor. Also, let us notice that he died with Uranus in transit conjunct to his natal Venus (ruler of Taurus); he could not complete his Uranus return, but I have the impression that Kofi Annan is going to become an icon during this universal transit of Uranus in Taurus, a symbol of awareness and responsibility of sharing a common ground: planet Earth.
Most important, the conjunction of Saturn with his Sun in Aries made him become cautious and sensible; it must have been tough for a natural rebellious Aries to learn how to respect authority, obey and resist frustration. No doubt that Annan disapproved of his former boss in the UN, and of the USA’s manipulation of this organism, especially during the Iraq war (which Annan disapproved), but he knew how to wait and make the best of his possibilities to help those who were suffering. One clear example; in 2005, he created a program allowing Iraq to sell oil in order to get food and medicines for its people.
Elegant and discrete, Kofi Annan managed to improve and helped recover face for the UN without confronting directly the USA; he knew that one third of the UN budget came for this rich country, but he did not allow his charge in this institution to be manipulated by selfish aims of power. It must have been very hard to keep a balance between the USA pressure and those who accused him of not fighting enough for human rights.
Kofi Annan kept his commitment with the safeguard and evolution of humanity until the end of his life; as a child, he witnessed the collapse of the Second World War, and the horrors in Africa, his continent; he then saw the creation of organizations and institutions to preserve and create a peaceful modern world, the UN, WHO, UNESCO; he then eventually participated in them to improve their capabilities. But he died, I am afraid, perceiving the loss of these values carried away be the dark tide of cynic tyrants in many parts of the world.
I am convinced that Kofi Annan’s image is an authentic role model; it helps us understand what commitment means during these tough years with the transits of the transpersonal planets.
At his funeral, this great man, not a saint but a real hero, was honoured by thousands of important politicians, intellectuals, artists and millions of people all around the world.
By the way, have you seen or heard any homage of president Trump’s about him? I have not. And I am not surprised; Kofi Annan stands for the opposite values of Trump’s. But Annan’s image will keep growing in admiration throughout the years and centuries; I do not think that such will be the case with Donald Trump.
Xavier Betancourt
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